バイトでも年末調整は必要なの?知っておくべき年末調整の基本
- #年末調整
2021.10.12
会社員は当然のように年末調整が行われていますが、アルバイトはどうなのでしょうか?
アルバイトは年末調整や確定申告は関係ない、と思っていませんか?
アルバイトでも会社から給料をもらっているなら、年末調整の対象者です。
年末調整とは何か、アルバイトでも必要なものなのか、また必要な手続きなど年末調整の基本について解説します。
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そもそも年末調整とは?
年末調整とは年末に1年間の所得税を再計算して、過不足金額を調整することです。
会社員の場合は、毎月の給料や賞与から、支払い金額に基づいた所得税を徴収されています。
所得税の正確な金額は1年の終わりにならないと決まりません。
そのため、毎月の給料や賞与から差し引かれているのは、見込額(源泉徴収)です。
扶養など家族がいる、いないなどによって所得控除などもあり、人によって適用される税金の控除額も異なります。
1年間のうち、転職したり家族構成に変化が生じたりした場合や、会社以外で各種保険料などを払っている場合なども、源泉徴収との金額と異なるケースがあります。
そのため、1年の終わりである12月に、本来納めるべき所得税をきちんと計算するのです。
本来納める所得税額に比べて毎月の源泉徴収額の合計が多ければ差額が戻ってきます。
反対に少ない場合は、不足分を追加で納めなければなりません。
このように、あらかじめ徴収していた所得税を年末に調整することを、年末調整と言います。
バイトや学生は年末調整の対象者?
会社員であれば年末調整の対象となり、会社側が計算をしてくれます。
では、アルバイトの場合はどうなのでしょうか?
年末調整の対象となるのは、会社から給与をもらっている人です。
そのため、アルバイトとして会社から給与をもらっている場合、学生であっても未成年でも、基本的に年末調整の対象となり、手続きが必要です。
年末調整の対象になる人
学生のアルバイトでも、会社から給料をもらっている場合は年末調整の対象となり、手続きが必要です。
しかし、中には対象にならないケースがあります。
年末調整の対象になる条件とならない条件について解説します。
年末時にアルバイト先で働いている
年末調整の対象になる条件の一つは働いている時期。
1年を通してそのアルバイト先で働いている、または年の途中から年末まで働いていることです。
ポイントは年末時にそのアルバイト先で働いていることです。
例えば、9月にアルバイトを辞めていた場合、その後にほかのアルバイト先で仕事をしていれば所得に変化が生じるため、年末調整はできません。
年末時に新しいアルバイト先で働いている場合、以前のアルバイト先から源泉徴収票がもらえるなら、年末時に働いているバイト先でまとめて年末調整をしてもらえることもあります。
1社のみでアルバイトしている
複数の会社でアルバイトをしていても、年末調整ができるのは1社だけです。
同時に複数の会社でアルバイトをしていても、それぞれの会社は、自分の会社のことしかわかりません。
他の会社の給料はわからないので、どちらのアルバイト先でも年末調整ができないことになります。
また年末調整の対象は、給与所得者の扶養控除等(異動)申請書の提出をしていることも条件の一つです。
年末調整の対象にならない人
年末時にその会社でアルバイトをしていない、複数の会社でアルバイトをしている、また「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を提出していない、といった条件を満たしていなければ、年末調整の対象になりません。
1つでも満たさない条件があれば、年末調整はできません。
また、3つの条件を満たしていても、例外として年末調整の対象にならないケースがあります。
1つは、1年間の給与が2000万円を超えている人、2つ目が、災害減免法の規定によって、その年の給与に対する所得税、また復興特別書と億税の源泉徴収において、徴収猶予や還付を受けた人です。
災害減免法は、災害などで住宅や家財に損失を受けた場合、規定によって所得税が軽減・免除されるといった制度です。
また、1年間の給与が2000万円を超える場合は、年末調整ではなく確定申告をする必要があります。
年末調整しないなら確定申告が必要
年末調整をしない、もしくは対象とならない場合は、確定申告が必要です。
年末調整をしないことで、払う必要のない金額を納税している可能性もあります。
例えば、年の途中でアルバイト先を辞めてしまった場合、元のアルバイト先では12月まで働いているとみなし、源泉徴収をしています。
そのため、正確な所得税を支払っていないことが考えられるでしょう。
また、その反対もあります。
正しい納税をするためにも、損をしないためにも、年末調整しない場合は、確定申告をしましょう。
年末調整と確定申告はどう違う?
年末調整は勤務しているアルバイト先で計算や手続きをしてくれるものです。
一方、確定申告は自分で計算をして申告し納税をするものです。
年末調整は「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を提出するほか、自分で計算や手続きをする必要はありません。
しかし確定申告は違います。
年間の収入、経費などを自分で計算し、所得税を申告して納税をするものです。
毎年、1月1日~12月31日の期間に発生した所得、保険料、経費などを計算し、確定申告書類を作成して3月の15日までに提出・納税します。
確定申告をすれば、源泉徴収されていた所得税の還付を受けられる可能性もあります。
確定申告は個人事業主や会社員だけでなく、パートやアルバイト、年金や家賃収入によって所得のある人は全員が対象です。
通常、勤務先で年末調整をしてくれる場合、確定申告は必要ありません。
しかし年末調整をしてくれるとしても副収入のある人や2000万円を超える収入がある人は確定申告が必要です。
こんな場合は年末調整をどうするべきか
年末調整をしないと損をすることもあります。
しかし、アルバイトだと必ずしも年末調整をするとは限りません。
バイトを掛け持ちしていたり、年度途中で会社を辞めてしまったりすれば、年末調整をしないこともあるでしょう。
そういった場合はどうすべきか、それぞれのケースについて解説します。
勤務先で年末調整をしなかった
勤務先によっては、アルバイトやパートの場合、年末調整をしないというケースがあります。
特に規模の小さい会社や個人経営の場合、年末調整をしてもらえないことがあるでしょう。
チェーン店や大きな会社であれば、本部で一括して年末調整を行うのですが、人手の足りないお店などでは、そこまで手が回らないのが現状です。
しかし、給料からは源泉徴収されているため、そのままでは正確な納税ができません。
勤務先で年末調整をしてもらえない場合は、年明けに勤務先から厳選徴収票をもらい、確定申告をしましょう。
確定申告は期限に間に合うように行うことが必要です。
バイトを掛け持ちしている
先にも述べた通し、複数の会社でアルバイトをしていても、年末調整ができるのは1社のみです。
年末調整に必要な、「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」は、1つの勤務先にしか提出できず、1つの会社のみでしか年末調整はできないことになっています。
複数の勤務先から給料をもらっている場合は、勤務先すべてから源泉徴収票をもらいましょう。
まずは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を提出したアルバイト先で年末調整をして、その後、ほかの勤務先の源泉徴収票を集めて自分で計算し、確定申告をします。
また、アルバイトの給料以外でも収入があり、所得が20万円以上を超える場合は、確定申告が必要です。
年度途中で退職
年末調整は1年間の収入を元に計算するので、年度の途中でアルバイト先を辞めてしまった場合、辞めた後の収入がわからないため、元の勤務先では年末調整ができません。
会社は従業員に源泉徴収票を発行する義務があります。
そのため、退職した会社から源泉徴収票が送られてくるので、それを元に確定申告をしましょう。
退職後、新しい職場で年度末まで働いていた場合は元の会社で発行してもらう源泉徴収票を提出すれば、まとめて年末調整をしてくれます。
万が一、源泉徴収票を発行してもらえない場合は、税務署に「源泉徴収不交付の届出」を提出すれば、税務署から会社に指導が入ります。
源泉徴収票は給料の額やシフトの回数などに左右されることはありません。
給料をもらっている場合は、会社の義務として源泉徴収票を発行することになっています。
短期のバイト
短期バイトでは年末調整をしてもらえないケースがほとんどです。
会社から、「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」をもらっていない場合は、年末調整をしていないということなので、自分で確定申告をする必要があります。
勤務していた会社から源泉徴収票を発行してもらい、確定申告書類を作成して確定申告をしましょう。
ただし、年収103万円以下の場合や月収88,000円未満の場合、所得税の納付義務はないので、確定申告の必要もありません。
派遣アルバイト
派遣アルバイトの場合、確定申告が必要になるケースが少なくありません。
確定申告が必要になるのは、主に以下のようなケースです。
・派遣会社2社以上から給料がある
・現在は新しい派遣会社で働いている
・12月時点で無職
・派遣の時給に交通費が含まれている
派遣スタッフとして2社以上からの給料がある場合、12月の時点で収入の多い方で年末調整をします。
年末調整は1つの勤務先でしかできないので、もう1社からは源泉徴収票をもらい確定申告をしなければなりません。
過去に派遣会社を辞め、現在は新しい派遣会社で働いている場合は、過去の会社から源泉徴収票をもらい、現在の会社でまとめて年末調整をしてもらえます。
しかし、源泉徴収票が遅れて手続きが間に合わなかった場合は、自分で確定申告をする必要があります。
12月の時点で無職の場合、会社での年末調整ができないため、登録していた会社から源泉徴収票をもらい自分で確定申告をしなければなりません。
交通費は給与ではなく、非課税です。
会社によっては時給に交通費込みで給与を払っているケースがあり、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
派遣会社から「通勤交通費証明書」をもらい、時給が交通費込みであることを申告しましょう。
年末調整のために準備する書類
年末調整のためには、以下の書類が必要です。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書【必須】
・給与所得者の配偶者控除等控除申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は年末調整には必ず必要な書類で、勤務者に「扶養家族」がいるかいないかを確認する書類です。
子どもがいる、両親に仕送りをしている場合などは控除を受けられます。
扶養家族がいない人は、用紙の上段の住所、氏名、マイナンバーなどを記入し、認印を押すだけです。
給与所得者の配偶者控除等控除申告書は、扶養している配偶者がいる場合、配偶者がいくら稼いでいるかを記入します。
扶養家族は一定の金額まで収入があっても税金がかかりません。
配偶者の所得が一定額以下であれば、控除を受けられます。
給与所得者の保険料控除申告書は、生命保険料や地震保険料、社会保険料などの金額を記入してください。
これらの保険料は、一定のルールに従い控除を受けられます。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書に記入すれば、住宅ローンなどの借入において控除が受けられます。
条件を満たせば、ローン残高の最大1%まで控除が可能です。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
年末調整において必須である、給与所得の扶養控除等(異動)申告書は、次の点に注意して記入しましょう。
勤務先・納税者本人の情報において、「給与支払者の法人(個人)番号」は、会社が記入します。
「所轄税務署長等」には、勤務先本社の管轄である税務署名を記入します。
ポイントとしては、名前や住所、生年月日などは空欄のないよう記入することです。
個人番号はマイナンバーカードの個人番号をチェックしましょう。
名前の横に押す印鑑は認印で大丈夫ですが、正式な書類なので、シャチハタは避けた方がよいです。
従たる給与については、申告書を提出する会社以外から給与を受ける場合に、〇をします。
単身世帯で扶養家族等がいない場合は、この部分だけを記載します。
配偶者や納税者と生計を共にする配偶者以外の親族、障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生、等に該当する場合はそれぞれの欄に必要事項を記入してください。
年末調整の基本を正しく理解しましょう
アルバイトの場合、小規模なお店などで働いていると、年末調整をしてもらえない場合があります。
また、年度末に会社に勤務していない、短期アルバイトで稼いでいるなどといった場合も、年末調整をしないことも少なくないでしょう。
しかし、年末調整をしないと税金を払い過ぎてしまうことがあります。
会社を退職しても源泉徴収票があれば払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があるのです。年末調整の基本を正しく理解し、必要があれば確定申告をして正しく納税をしましょう。
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