バイトやパートで知っておきたい税金の話!いくらから引かれるの?税制度についてご紹介
2022.05.17
高校生や大学生がバイトを始める時、気を付けてほしいことの一つに税金のことがあります。
税金に関して以下のような悩みはありませんか?
・税金が引かれるのは年収いくらから?
・税金を計算する期間はいつからいつまで?
・税金を払わなくてよい金額は1か月いくら?
この記事では、どうすればこのような疑問や悩みを解決できるのかをご紹介します。
税金に関する最低限の知識を手に入れて賢く稼いでいきましょう。
バイトを探す
バイト・パートでもらうお金・給与所得とは?
税金のことを理解するためには、所得という言葉の意味が分かっていないといけません。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた額の事です。
いわゆる手取りと少し違います。
”給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます”
給与所得=給与(源泉徴収前の金額)-給与所得控除
という計算になります。給与というのは額面上の総支給金額の事です。
つまり、給与所得控除について理解すればよいわけです。給与所得控除は金額によって以下の通りに計算されます。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から 1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
税金を計算する場合はこの給与所得を基準としますので覚えておいてください。
バイトにかかる税金
バイトであろうと正社員であろうと所得に応じて税金はかかってきます。
ここを理解しておけばいわゆる103万円の壁や130万円の壁の意味を理解することができます。
まずは所得税について理解していきましょう。
所得税
所得税とは字の通り所得にかかる税金のことです。
収入ではなく所得であることを覚えておいてください。
所得税は累進課税制度が採用されていますので、所得が増えるほど納める税率が高くなります。
所得とは収入から必要経費を差し引いた金額です。
バイトの場合は基本的に給与所得がほとんどですので、必要経費は無い場合が多いでしょう。
その場合は給与所得控除などの各種控除を差し引いた金額となります。
所得税の税率は以下の表の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円
|
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円
|
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円
|
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円
|
例えば、あなたの所得が200万円だった場合、税率は10%。控除額は97,500円となるので、以下の式で所得税が計算されます。
200万円×10%-97,500円=102,500円
所得税の103万の壁とは?
よくバイトやパートでは103万円を超えないようにという意味で「103万円の壁」という言葉が使われます。
学生のバイトでも同様に、所得が103万円を超えたら所得税が発生するため、別名「税金の壁」と呼ばれます。
控除には給与所得控除の55万円と基礎控除の48万円があります。
つまり、給与所得を得ている方の場合、これらの合計の103万円までは必ず差し引くことができるのです。
結果、課税所得は0円となり所得税も0円の非課税ということになります。
所得税の対象となる期間は?
所得税はその年の1月1日から12月31日の間に得た所得が計算の対象となります。
この1年間の所得に応じて所得税が決まりますので、12月に調整する方は多いと思います。
1月から働いていれば、月額85,833円で年間約103万円になります。
6月から働いた場合、12月までは7か月なので月額147,142円まで稼いでも所得税は0円となります。
住民税
住民税とはその地域に住む人たちが負担している税金で、市町村民税と都道府県民税から成ります。
サラリーマンは給与から天引きされているはずです。
住民税は自治体によって若干の違いはあるものの、おおむね所得の10%です。
所得税は確定申告や年末調整で自ら納めるのですが、住民税は自治体が計算して納税者に通知する賦課課税方式を採用しています。
よって、前年度の収入から計算されることになります。
前年度の収入から計算されるということは、仕事を辞めても翌年に請求が来るということです。
予め計算しておかないと支払いに苦慮することになりますのでご注意下さい。
住民税の100万の壁とは?
103万円の壁は有名ですが、100万円の壁はあまり馴染みがないと思います。
実は、住民税においては約100万円を超えると課税対象となります。
理由は基礎控除額が所得税とは異なるためです。
所得税は基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計103万円でした。
一方、住民税は基礎控除43万円と給与所得控除55万円の合計98万円が課税対象の境界となります。
この98万円というのが自治体によって前後するため、100万円の壁と呼ばれています。
細かく言うと、住民税には均等割と所得割の2種類があります。
さらに、境界の金額は自治体によって若干異なりますので、詳細はお住いの市役所に確認して下さい。
社会保険上の130万円の壁
ここまでお話した税金と同様に重要なのが社会保険です。
配偶者やご両親の扶養から外れる、外れないの話になりますので世帯収入にも影響するため、よく理解しておいてください。
社会保険とは基本的には年金と健康保険のことを指します。
現在無職の方は配偶者やご両親の扶養に入っているかと思います。
その扶養から外れて自分で年金と健康保険を支払う必要があるラインが130万円です。
バイト・パート先の社会保険に加入するか国民健康保険などを自ら支払う必要が出てくるため、当然手取りは減ります。
さらに、配偶者特別控除が受けられなくなるなど、世帯収入にも影響してきますので計画的に働きましょう。
年末調整と確定申告とは?
サラリーマンであれば会社で年末調整を受けるでしょう。
収入があるけど年末調整を受けていない方や、一定の条件を満たす方は確定申告が必要になります。
確定申告をすれば税金の還付を受けられることもあります。ここで内容を確認しておきましょう。
源泉徴収について
源泉徴収とは、会社が社員の代わりに税金を支払うために給与からあらかじめ一定金額を差し引くことを言います。
源泉徴収のおかげで社員は面倒な確定申告をしなくて済みます。
国としても確実に税金を納めてもらえるというメリットがあります。
年末調整を会社で受けたことがある方は源泉徴収票という紙をもらったことがあるはずです。
源泉徴収された金額と実際に支払うべき税金の金額に差がある場合、それを調整することが年末調整です。
生命保険料控除などによってお金が返ってくることがあります。
源泉徴収は給与以外にも講演料や原稿料など様々な報酬が対象となります。
100万円以下の源泉徴収の場合は支払い金額の10.21%と決まっています。
0.21%は復興特別所得税と呼ばれており、東日本大震災からの復興のための財源確保として徴収されています。
年末調整
年末調整とは月々差し引かれている源泉徴収額と、実際に支払うべき金額の差額を調整することを指します。
正社員は基本的に会社が行ってくれます。
パートやバイトの場合は会社が行ってくれる場合もありますが、会社で年末調整ができない場合は自分で確定申告をします。
毎月支払っている源泉徴収の金額は概算なので、12月になって税金の金額が確定しないと差額があるかないかは分かりません。
扶養控除や配偶者特別控除、生命保険や地震保険の保険料控除、住宅ローン控除など様々な控除を利用すれば還付を受けられる可能性があります。
必要な書類を提出すれば会社の経理担当者が計算して、後日還付を受けることになります。
年度途中で転職した方などは不足分を支払う必要が出てくる可能性もあります。
このように、源泉徴収金額と実際に支払う税金の過不足を計算することが年末調整です。
確定申告
確定申告とは、その年の所得額と納税額を申告することです。
税金を払いすぎている場合は還付を受けられますし、不足している場合は税金を支払います。
毎年2月16日~3月15日にその前年の1月1日から12月31日までの確定申告を行います。
確定申告は個人事業主や法人が行うものというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
年末調整ではできない控除を受けたい場合や、パートやバイトで会社で年末調整を受けられない方は確定申告の対象となります。
副業をしていて本業の分は会社で年末調整をした方も副業分は確定申告が必要です。
株や不動産を保有しており所得が発生した方も確定申告が必要となります。
よく、20万円までは確定申告不要と言われますが、それは所得税の話です。
住民税に関しては関係ありませんのでご注意下さい。
バイトでも確定申告が必要な場合
バイトやパートであっても確定申告が必要となるケースがあります。
ここでは、いくつか代表的な確定申告が必要となる事例をご紹介します。該当する方はよく理解しておきましょう。
バイト先が年末調整をしていない場合
会社によってはバイトやパートの年末調整をしていないこともあります。
その場合は自分で確定申告を行う必要があります。
源泉徴収票をもらうはずなので、源泉徴収票を元に確定申告を行いましょう。
年度の途中で無職になった場合
年度の途中で無職になった場合でも辞めるまでの収入に関しては確定申告が必要です。
辞めた会社で年末調整を行ってくれる場合は良いですが、そうでなければ確定申告を行いましょう。
バイトを掛け持ちして、まとめて年末調整してもらえない場合
年末調整は1社でしか受けることができません。まとめて年末調整してもらえるようならお願いしましょう。
難しい場合は確定申告が必要となります。
バイトでも確定申告しておいた方がいい場合
確定申告をする必要がなくても、確定申告すればお金が戻ってくると聞いたら確定申告したくなります。
事実、税金を支払いすぎている場合や控除が受けられる場合は還付金を受け取ることができますので確定申告しましょう。
年収103万円以下で所得税が差し引かれている場合
すでにお話した通り、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を合わせた103万円までは所得税が0円となります。
年収103万円以下の方で毎月給与から所得税を引かれている方は納めすぎた税金が還付されます。
医療費を多く払った場合
医療費控除を受けることができる可能性があります。
医療費控除は実際に支払った医療費から保険金などで補填される金額を引いて10万円を超える場合に受けることができます。
また、所得が200万円未満の方は所得の5%以上支払っていれば医療費控除を受けることが可能です。
セルフメディケーション税制が活用できる場合
ドラッグストアなどでスイッチOTC対象の薬を年間12,000円以上購入した場合に受けることができます。
対象商品にはセルフメディケーション控除対象と記載されたマークがついています。
上限は88,000円で医療費控除と併用はできません。
控除とは?
控除とは何かを差し引くことを指します。
税金の場合は課税対象額や税金そのものを差し引くことを控除と呼びます。
国は様々な控除を用意しており、特に低所得者を保護する意味合いが強いと言えます。
控除には大きく分けて所得控除と税額控除があります。
所得控除とは課税対象となる所得を差し引くことで税額を減らす控除です。
所得控除は14種類もあります。これら控除は勝手に適用されるわけではないので、年末調整や確定申告で申告する必要があります。
税額控除は実際に納税する税額そのものを控除することができるため大きな節税効果が期待できます。
代表的なものは住宅ローン控除です。
税額控除も申告しないと受けられません、きちんと申告して節税を図りましょう。
扶養控除
一定の収入に満たない方は税制上の被扶養者となり税金の負担が免除されます。
扶養している方は扶養控除を受けることができます。
扶養控除は所得控除の1種であり、課税所得額を差し引くことで税金の負担を減らすことができます。
学生バイトの場合、勤労学生控除を受けるかどうかはご両親と相談して決めて下さい。
扶養から外れると扶養控除から外れることになります。
学生の場合は特定扶養親族という区分になり所得税63万円、住民税45万円の控除です。
実際に増える税額は扶養者であった者の所得税率によりますが、仮に所得税率10%であったとしても108,000円の増税になります。
勤労学生控除を考える時は世帯収入がどうなるかをよく考えて検討してください。
配偶者控除・配偶者特別控除
妻が夫の扶養に入っている場合、夫は配偶者控除を受けることができます。
配偶者控除は配偶者の所得が48万円以下の場合に適用となります。控除額は以下の通りです。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | 控除額 | |
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
配偶者の所得が48万円を超えた場合は配偶者特別控除を受けることができます。
配偶者特別控除は配偶者の所得に応じて控除額が漸減していき、133万円を超えると0円となります。
配偶者控除を受けると扶養控除は受けることができません。
2018年の改定により配偶者控除がより優遇されるようになりました。
まとめ
バイトやパートを始める場合には、必ずこの記事に書いている税金のことを理解しておきましょう。
後になって損をすることがないようにして下さい。
まずは103万円の壁が分かりやすい目安となります。
103万円を超える場合は扶養について、控除について、社会保険について考える必要があります。
ただし、例えば年金に関しては支払えば将来戻ってくる年金が増えることになるため、必ずしもデメリットばかりではありません。
短期的、長期的目線で今後のライフプランに合った働き方をしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
バイトを探す