失業保険受給中にアルバイトはできる?雇用保険のルールや注意点
- #失業保険
2021.07.26
何らかの理由で仕事を辞めたとき、次の仕事がすでに決まっていれば収入に困りません。
しかしまだ仕事が見つかっていなければ無収入で生活が不安になります。
雇用保険に入っていると、きまりに従って一定期間失業等給付を受けられます。
失業保険の受給中、必要なお金が足りないとお金を稼ぐ手段としてバイトを考えますが、そもそもバイトをしても良いのでしょうか。
ここでは失業保険を受け取りながらバイトしたいときの注意点や、おすすめのバイトも紹介します。
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失業保険について
失業保険とは保険制度のひとつで、正しくは雇用保険といいます。
失業保険をもらうとは、雇用保険に加入していると手続きにより支給される失業等給付の受給を意味する言葉です。
失業保険制度や失業手当の受け取り方を説明します。
失業保険の仕組み
いわゆる失業保険は、雇用保険の被保険者が離職したあと収入の心配をせず次の仕事を探すために支給される給付金です。
正しくは雇用保険制度の失業等給付といい、必要な手続きを行うと条件に従って給付金を受け取れます。
失業保険は求職者給付のうち、一般被保険者に対する求職者給付に含まれる基本手当をいうことが多いです。
その他にも手当はありますが、基本手当は手続きが必要です。
求職者給付以外に、再就職を後押しする就職促進給付や教育訓練給付、雇用継続給付があります。
仕事を辞めれば誰でもすぐにもらえるお金ではなく、まずは働いていたとき雇用保険への加入していたことが必要です。
会社や働き方により未加入の場合があり、すると失業保険の支給対象外になります。
また失業保険を手続きして受給する間は、収入についてきまりがあります。
離職してから基本手当を受け取る手続きをするまでの間であれば、アルバイトも可能です。
しかし手続きして求職活動を始めると一定以上の収入があるともらえないこともあります。
求職中のバイトを考えるときは、働き方に注意しましょう。
失業保険受給の日数や条件は人それぞれ
失業保険の受給日数や金額は人により異なります。
自己都合で仕事を辞めた場合、被保険者の期間が1年未満では年齢問わず一律90日間の支給です。
それ以降は年齢や被保険者であった期間の長さにより受給期間が増えます。
倒産や解雇により離職した場合は、次の仕事の準備をする時間がなく特定受給資格者の扱いになります。
自己都合での離職より受給期間が増える可能性が高いでしょう。
失業保険(失業給付)でもらえる金額はどのくらい?
失業保険はたとえ月給制で働いた会社を辞めた場合でも、1日当たりの金額に換算して計算します。
1日当たりの受給額を基本手当日額と呼び、離職した日直前6か月に支払われた給与の合計を180で割って算出します。
このとき賞与は含みません。
基本手当日額は算出した金額の約50~80%で、60歳~64歳は45~80%とやや下がる場合があります。
ただし年齢で金額の上限と下限が決まっており、年齢は離職した日の年齢を参照されます。
基本手当日額には一律で控除額があり、失業期間中に仕事をした収入があった場合に1日当たりの収入から引かれる金額です。
失業保険(失業給付)を受け取るには
失業保険を受給するには住んでいる地域を管轄するハローワークでの求職申込が必要です。
そのときに持参するものは、雇用保険の資格喪失を知らせる「保険被保険者離職票-1」と離職前の賃金支払い状況と離職理由が書かれた「雇用保険被保険者離職票-2」・マイナンバーカードや通知カードなど個人番号確認書類・運転免許証などの顔写真つき身元確認書類・証明写真2枚・本人名義の通帳またはキャッシュカード・印鑑です。
雇用保険被保険者離職票は自宅へ届きますが、勤めていた会社へとりに行く場合もあります。
証明書は顔写真つきのものが用意できなければ、国民健康保険証と住民票記載事項証明書のように2種類必要です。
通帳またはキャッシュカードは給付金の振込先の確認のためで、なかには取扱いのない金融機関もあるので、心配があれば事前に確認しましょう。
ハローワークで求職申込をしたあと、待機期間が誰でも7日間とられます。
受給資格が決まってから数える、失業保険がもらえない期間です。
待機期間がすぎたあとも、一般受給資格者はさらに給付制限期間があります。
辞めた時期にもよりますが5年間中2回までは2か月、5年で3回目以降では3か月です。
雇用保険制度を理解するために、雇用保険受給者初回説明会があり必ず参加します。
必要なものは雇用保険受給資格者のしおり・印鑑・筆記用具です。
このときに雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡され、第一回の失業認定日の連絡を受けます。
受け取った書類を持って4週に一度失業認定日にハローワークへ出向き、失業状態の認定を受けます。
失業保険をもらうために、前の認定日から次の認定日の間、2回以上の求職活動が必要です。
失業認定されると求職申込で登録した口座に失業手当が入金されます。
失業保険を受給中にバイトはできる?
失業保険をもらいながら仕事探ししても、以前の給与を満額はもらえないため収入が不足する人もいます。
必要なお金を稼ぐために、失業保険の受給期間中でもバイトをして良いでしょうか。
ここではバイトの可否とバイト不可の期間を説明します。
待機期間中はバイトできない
ハローワークで登録したあとの待機期間中はバイトはできません。
もし待機期間中にバイトをすると失業していると認定されず、待機期間が延びる可能性があります。
給与は振込が多いですが、手渡しのバイトを選べば収入の記録が残らないと思いがちです。
しかしバイト先は給与支払いの申告義務があり、給与手渡しでも記録が残ります。
マイナンバーにも収入の形跡が残るため、隠すことは難しいです。
給付制限期間中はバイトできる
給付制限期間とは、待機期間の7日間をすぎたあとの失業保険の給付がない期間です。
自己都合や懲戒解雇で仕事を辞めた場合に発生します。
以前は自己都合による離職は3か月の給付制限期間がありましたが、令和2年10月1日以降の離職では2か月に短縮されました(5年間中2回まで)。
懲戒解雇は以前と変わらず3か月の給付制限期間があり、事業主の都合や正当な理由で離職した人は、給付制限期間はありません。
しかし給付制限期間中は収入が全くないため、生活に必要なお金に困る可能性があります。
その状態を防ぐため、給付制限期間中のアルバイトは認められています。
ただし、一定時間を超えてバイトすると就職とみなされ失業保険をもらえなくなる場合があるので、注意しましょう。
失業給付受給中はバイトできる
失業給付受給中もバイトはできますが、働いた時間数や給与額により支給額の減額・先送りになるケースがあります。
バイトをしたときは、失業認定申告書にその旨を記入して失業認定日に提出しましょう。
バイトの申告は必ず必要で、しなければ不正受給とみなされ重い罰則を受けます。
きまりを守ってバイトすれば、それまでの給与より少ない失業保険の給付でも生活を保ちやすくなります
。失業保険の受給中のバイトは禁止でないため、きまりの範囲内で上手に働き生活を維持して次の仕事を探しましょう。
失業保険「受給不可」になってしまうケースとは?
失業保険はまれに受給できないことがあるため注意が必要です。
「失業保険は手続きさえすれば、誰でももらえる」と安易に考えている人は危険でしょう。
受給不可とならないように、気をつけるべき注意点を解説していきます。
待機期間中のアルバイト
失業保険を受給するための手続き・申請を行ったあとは、失業保険の給付が開始されるまで少しの間待機になります。
この給付の制限期間は7日間です。
この期間中にアルバイトを行い、失業状態ではなくなるとその働いた分の日数分が受給不可の対象となります。
アルバイトなどで働いたその日だけが受給不可の日数としてカウントされ、その日数分が待機期間として延長される仕組みとなっています。
なるべく早めに失業保険の給付を受けたい人は、待機期間中でのアルバイトは避ける方が無難でしょう。
受給期間を超える日数のアルバイト
失業保険の受給ができる期間は、仕事を辞めた日から1年以内と定められているため、この期間を超えた分は給付を受けられません。
また、制度上で定められている「1日4時間を超えるアルバイト」をした場合でも、1日分の支給が先送りにされていきます。
支給されるはずの金額が減額にはなりませんが、4時間以上働いた日数分だけ支給してもらえる日が延びるという仕組みです。
延びた日数を合わせて、失業してから1年以上を超えた分は受給不可となります。
1日の受給額の80%以上を稼ぐ
失業保険で定められている1日分の受給額に対して、1日のアルバイトで得られる収入額が80%を超える場合は受給できなくなります。基本手当は標準報酬日額と呼ばれ、前職の収入から1日分の報酬額を算出します。
たとえば、前職の収入から計算して標準報酬日額が1万円であった場合は、1日あたりに8千円を超える報酬になると受給不可です。
このような仕組みであるため、アルバイトをする場合は自分がもらえる額をしっかり把握しておき、標準報酬日額の80%を超えていないか諸条件を確認しましょう。
雇用保険の対象になるほど働いてしまう
制度で定められている雇用保険加入の条件を満たすほど働いてしまった場合、失業状態ではなく、就業状態と見なされるため受給できなくなります。
雇用保険は正社員だけでなく、アルバイトでも条件を超えたら加入が必須です。
雇用保険の具体的な加入条件は以下です。
- 1週間の所定労働時間が合計で20時間以上
- 31日以上の雇用労働者、もしくは見込まれる
の2点となり、長期採用で週5日/4時間労働してしまうと対象になるので注意しましょう。
失業保険を減額されてしまうことがある?
失業保険の受給中に収入を得ると、その金額次第では減額の対象となる場合があるため注意しましょう。
また、前述で解説した「1日4時間未満のアルバイト」であったとしても、その条件によっては減額の対象となってしまう可能性があります。
具体的には以下のような場合です。
A:標準報酬日額+控除額を引いた収入額(控除額は1296円/令和3年8月より)
B:前職での賃金日額×80%
Aの額がBを超えている場合は、超えた差額分は減額支給
Aの額がBより低い、もしくは同額である場合は全額支給
1日分の収入がBより多い場合は支給なし
アルバイトや、パートなどで働く前にその収入の額をあらかじめ確かめておき、なるべく全額支給してもらえるようにしましょう。
失業保険期間中のバイトの注意点とおすすめのバイト
失業保険受給中にするバイトは労働時間や給与額にきまりがあります。
少しでもオーバーすると、支給額の減額や先送り、場合によって給付がなくなるかもしれません。
失業保険を受給しながら働きたいときの注意ポイントとおすすめのバイトを紹介します。
勤務日数や時間に注意!
失業保険の受給中のバイトは1週間の労働時間が20時間を超えると、就職とみなされ受給できなくなります。
週当たりの労働時間に加えて31日以上の雇用が見込まれると、たとえ立場はバイトでも就職の扱いです。
週20時間以上の労働と31日以上の雇用は、雇用保険の加入条件にあてはまるためです。
バイトするときシフト制で勤務時間や日数がわからなければ、あらかじめ週20時間をこえないシフトになるよう申し出ましょう。
自分ではひと月未満でバイトをやめるつもりでも、期間がはっきりしていないと就職とみなされる場合があります。
バイト先に雇入通知書を作成してもらい、失業保険の給付期間内だけの仕事という証明を持っておきましょう。
いつでもハローワークに提出できるよう準備すると安心です。
内職や手伝いでもすべて申告するのがおすすめ
日雇いの短期バイトなど給料が手渡しの場合もありますが、自分の銀行口座に振込履歴がつかないというだけで、報酬受け取りの実績が残ります。
バイトを雇って給与を支払った会社は税務署に申告の義務があるためです。
たとえ出来高制の内職や手伝いでも、仕事を依頼した側が申告するため、隠さず全て申告しましょう。
申告せずあとからバイトで収入を得ていたと判明すると、金額に関わらず重い罰則が適用されます。
ボランティアで収入があったときも申告が必要ですが、資産運用で得た利益は申告の対象ではありません。
不正受給には要注意
見つからなければいいと考えてバイトなどの収入を隠して失業保険を受け取る人もいますが、必ずばれます。
給与や報酬を支払った側の申告やマイナンバーの登録情報、一緒に働いていた人からの情報など、どこかからバイトなどをした形跡は見つかります。
しかし条件の範囲内で働き、きちんと申告すれば不正受給になりません。
求職活動の実績で虚偽の申告をした場合も不正受給にあたります。
必要な回数の求職活動を行い、正直にその内容を申告しましょう。
自営業を始めた、または会社役員についたにも関わらず申告せずにいると不正受給にあたります。
定年後再就職するつもりがないものの失業保険を受け取っても同様です。
失業保険期間中におすすめのバイト
失業保険を受給しながらバイトで収入を補う場合は、働く日数や時間、稼ぐ金額に注意しましょう。
限られた範囲内で働きやすいバイトを紹介します。
面接や問い合わせの段階で、失業保険を受給できる範囲の働き方を相談すると安心です。
単発バイト
単発バイトは1回きりや短期間で仕事を終えるタイプの働き方です。
その日だけから数週間程度の仕事が多く、失業保険をもらいながらしやすいバイトです。
種類が豊富で、服装や時間の自由度や人との関わり具合などから自分に合う仕事を探しましょう。
例えばにぎやかな雰囲気で働きたい人はイベントスタッフ、黙々と室内でデスクワークがしたい人はデータ入力、夜の時間を使って働きたい場合は商品カウントやフロアレディなどがあります。
夏は海やプール、冬はスキー場や温泉など季節を限定したバイトはリゾートバイトと呼ばれます。
住み込みで働く場合もありますが、週当たりの労働時間が20時間を超えないよう注意しましょう。
他にも季節ごとのバイトには、クリスマス・お中元・お歳暮商品の販売や年賀状の仕分け、神社の巫女などもあります。
短時間のバイト
-4時間以内の短時間バイトなどの例をピックアップ-
週あたりの労働時間を抑えて働くには短時間のバイトがおすすめで、1日4時間以内のバイトは求職活動しながらでも働きやすいです。
シフト制のバイトを選ぶと時間の融通がきく場合が多く、1日4時間以内の勤務もしやすいです。
短時間のバイトは、たとえば飲食物などのデリバリーコールセンターや季節的な商品・サービスを提供するバイト、宅配便の梱包や仕分けなどがあります。
コンビニや飲食店スタッフも短時間勤務が多いですが、失業保険の受給期間中だけの短期勤務でも良いか、面接や問い合わせで確認しておきましょう。
短時間のバイトをしたい場合、夜間は翌朝までの長時間勤務が多いため、日中の仕事から探すと見つけやすいです。
ボランティア
失業保険受給中にボランティアした場合、認定日に正しく申告しましょう。
申告書にいつボランティアをしたか記入すればすみます。
ボランティア扱いになる条件として、作業を断ることが可能で、作業時間や休憩時間、帰宅時間が自由に決められることがポイントです。
有償の場合は、交通費などかかった費用を除いて少額の謝礼であればボランティアと認めます。
この条件に当てはまれば失業保険をもらいながらでもボランティアができます。しかし有償では減額になるかもしれません。
無償のボランティアであっても申告が必要な理由に、失業保険は離職中の人の生活を支えるためであって、奉仕活動するためではないとの考え方があります。
実際、ボランティアの実績が多いと求職活動をするように指摘される人もいます。
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