【130万の壁】扶養控除・扶養内に抑えるために
2022.04.14
妻がパートに出たいと考えるときは、扶養内での働き方が気になるかもしれません。
扶養内で働くため、パート収入の額を調節する話もよく聞くでしょう。
しかし、具体的にいくらまで働けば家庭の負担が少なくなるのかわかりにくいかもしれません。
扶養といっても種類があるため、それぞれの条件と金額を確認するようにしましょう。
扶養内で働きたい人が知っておきたい、扶養の種類と扶養の範囲を紹介します。
家庭の状況によりいくらまで稼ぐといいかは異なるため、自分に当てはめながら比較してみてください。
最大まで稼ぐ金額を制限したほうがいい場合もあれば、負担額が増えても基準を緩くしたほうがいい家庭もあるかもしれません。
家庭の状況に合わせながら、扶養内の働き方を考えてみましょう。
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扶養控除・扶養内とは?
社会保険と税制上の扶養
家族の扶養に入るといっても、社会保険と税制上の扶養で違いがあります。
それぞれの扶養の意味と対象が違ってくるため注意してください。
どちらも「扶養」という言葉が使われていますが、目的が異なるものです。
社会保険においての扶養とは、家族が加入する健康保険や厚生年金の扶養になるという意味です。
家族が加入している社会保険の扶養に入ると、扶養になった人は保険料を納める必要がありません。
扶養に入らない場合は国民健康保険の加入が必要ですが、この場合は保険料の支払いが必要となります。
また、厚生年金をかけている家族の扶養に入ると、同じように扶養に入った人は厚生年金保険料の負担がありません。
通常は国民年金の加入が必要ですが、家族の扶養に入ると家族が勤める会社が扶養者の保険料を負担する仕組みとなっています。
一方で、税制上の扶養とは、生計維持者の所得から一定額を控除する制度のことです。
扶養家族がいる場合は家計の負担額が増えるため、生計維持者の所得から控除することで、所得税や住民税の負担を軽くすることができます。
税制上の扶養として、妻が夫の扶養に入る場合は、配偶者控除・配偶者特別控除の適用です。
また、扶養する子や両親がいる場合は、扶養控除が適用されます。
年収の壁を正しく理解しよう
社会保険上と税制上の扶養では、それぞれ年収の壁が存在しています。
年収の壁とは、一定の年収を超えると、家族の扶養に入れない基準のことです。
基準を超えると扶養対象外となるため、扶養内で働きたいと考えるなら、それぞれの年収の壁を理解するようにしてください。
具体的には、以下のような壁が存在しています。
社会保険の壁 | 106万円の壁: パートやバイトで働く学生以外 | 130万円の壁: 自分で加入 | ||
---|---|---|---|---|
税制上の壁 | 100万円の壁: 住民税 | 103万円の壁: 所得税 | 150万円の壁: 配偶者控除 | 201万円の壁: 配偶者特別控除 |
社会保険の扶養に入るときは、パートやバイトとして働く人は106万円の壁があります。
一方で、社会保険の130万円の壁は、自分で社会保険に加入が必要となる基準です。
税制上の扶養の場合では、本人が100万円以上働くと住民税がかかり、103万円以上働くと所得税がかかるため注意してください。
また、配偶者控除は150万円までが対象で、配偶者特別控除は150万円を超えて201万円まで段階的に控除額が減っていきます。
交通費や通勤手当の扱いについて
税制上の扶養では、交通費・通勤手当は収入に含めません。
どちらも非課税扱いとなるため、収入から交通費・通勤手当を引いた額で扶養に入れるか比較してください。
交通費や通勤手当は、バスや電車など公共交通機関で通勤するための費用のことです。
これらに該当する場合は、月15万円までの支給なら非課税になります。
たとえば、住民税の非課税を計算する場合では、100万円に交通費や通勤手当を含めなくて大丈夫です。
所得税の場合は、103万円に交通費や通勤手当を含めず計算しましょう。
また、マイカー通勤をしている場合は、片道2km以上の通勤が必要な場合で、交通費や通勤手当が非課税になります。
マイカー通勤に関しては、通勤距離に応じて非課税となる上限が決まっているため注意してください。
なお、社会保険上の扶養の場合は、交通費・通勤手当は年収に含める必要があります。
交通費以外にも、家族手当や住宅手当など賃金以外にもらっている手当も収入に含めてください。
手当も年収に含めるのは、厚生年金保険法の報酬に手当も含んだすべての金額が対象となっているためです。
交通費や通勤手当の金額は、給料明細に記載されているため確認しましょう。
税制上の扶養に入りたいのか、社会保険の扶養に入りたいのかによって使い分けてください。
103万円の壁:所得税がかかる
働いている本人の所得税がかからないようにしたいなら、103万円の壁を意識しましょう。
103万円の壁となっているのは、収入から引ける控除があるからです。
2020年の税改正により、基礎控除はこれまで38万円だったのが48万円になりました。
また、給与所得控除額は55万円のため、合計で103万円まで所得税はかかりません。
所得税がかかるのは、所得が発生した場合のみです。
「基礎控除48万円+給与所得控除55万円=103万円」までは所得がゼロとなり、所得税が発生しません。
働く金額を調節して所得税をゼロにするといいのは、パートやアルバイトで働いている場合です。
たとえば、103万円を1万円超えると、1万円の所得に対して所得税がかかるようになります。
また、100万円も超えているため、所得税だけでなく住民税もかかる点に注意してください。
住民税もかからないようにしたいなら、100万円の壁を意識しましょう。
106万円の壁:社会保険の加入義務付け
社会保険の扶養に入りたいなら、106万円の壁を意識してください。対象となるのは、パートやアルバイトとして働く学生以外の人です。
勤務先が条件を満たしており、106万円以上の収入があると勤務先で社会保険加入の義務が発生します。
以下の条件に当てはまる勤務先で、以下の雇用条件の場合は注意してください。
- 501人以上の従業員がいる
- 1年以上雇用見込みがある
- 1週間の労働時間は20時間以上
- 月額8.8万円以上の賃金
また、2022年の税改正では、以下のように基準が変わりました。
- 101人以上の従業員
- 2か月以上の雇用見込みがある
勤務時間と月額の賃金の額は同じです。
年間106万円以上働いている場合は、勤務先が社会保険の加入対象なのか聞いてください。
対象外の勤務先となっているなら、社会保険の扶養で130万円の壁を意識しましょう。
130万円の壁:社会保険の扶養を外れる
パートやバイトをしている人が年収130万円を超えると、自分で社会保険に加入しなければなりません。
130万円を超えると、家族の社会保険の扶養から外れ、自分で国民健康保険と国民年金に加入が必要となります。
または、パートやバイト先で社会保険に加入することもできます。
あくまでも判断するのは社会保険組合です。
しかし、年収130万円を超えれば社会保険の扶養に入ることは難しくなるかもしれません。
年間130万円以上働きたいときは、パートやバイトの勤務先で社会保険に加入できるか確認がおすすめです。
正社員の4分の3以上となる労働時間や勤務日数であるなら、勤務先の社会保険に加入できる場合があります。
パートやバイト先で社会保険に加入できると、将来受け取れる年金額が増えます。
自分で加入する方法では国民年金の受給だけですが、勤務先で加入すれば国民年金と厚生年金の2つが加入できるからです。
150万円の壁:配偶者特別控除の上限額
2018年の税改正により、配偶者特別控除で150万円の壁ができました。
配偶者控除や配偶者特別控除が適用になれば、配偶者の所得から引ける控除額が増えて所得税や住民税の負担額が減ります。
配偶者が支払う税金が増えれば、家庭内の出費も増えるため、パートやバイトとして働く場合は年収150万円を上限に働く場合があります。
なお、配偶者控除の対象は、103~150万円までです。
いくらの配偶者控除となるかは、納税義務者の合計所得金額により変わります。
納税者の所得が900万円超となる場合は、配偶者控除の額が減るため注意してください。
また、配偶者特別控除の場合は、150万円から210万円までが対象で、段階的に控除額が下がる仕組みです。
210万円以上の収入になってしまうと、配偶者特別控除も使えなくなります。
配偶者特別控除でも、納税者の給与所得が900万円以下や900万円超などの所得基準があります。
2022年施行「年金制度改正法」について
2022年4月に、年金制度改正法が施行されました。
現代社会では働き方の多様化が求められており、また少子高齢化により人材不足もあって、労働条件の改善が求められています。
年金制度改正法により、パートやバイトとして働く人が勤務先で社会保険をかけられる基準が変わっています。
今まで、社会保険加入の義務があったのは、従業員501人以上でしたが、2022年の改正により2022年10月から従業員101人以上に変わりました。
また、パートやバイトで働く人が2か月以上勤務見込みのある場合では、勤務先で社会保険の加入が必要となっています。
パートやバイト先で社会保険に加入できれば、将来もらえる年金額が増えるでしょう。
また、障害厚生年金・遺族厚生年金・傷病手当・出産手当金なども給付対象となります。
国民健康保険と国民年金を自分でかける保険料と比べて、勤務先の社会保険加入で保険料が安くなる場合もあるでしょう。
働き始める前にしっかりと確認しよう
家計を助けるため、パートやバイトの仕事をしたいなら、扶養範囲に注意してください。
自分が支払う税金額を減らしたいなら、100万円や103万円の壁を意識するといいでしょう。
また、税金の支払いを減らすなら夫の扶養に入って、配偶者控除や配偶者特別控除の適用になるよう、収入の額を調節します。
ほかにも社会保険の扶養と意味が違うため、詳しい条件を確認するようにしましょう。
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